どうも、会社員Shiraです。
システム開発の仕事に就いて、かれこれ15年経ちます。
そんな私ですが、ここ数年ずっとモヤモヤしてたことがあります。
今まで開発に携わったシステムは、適正な価格設定なのだろうか?
15年経った今なら言える。
『適正価格ではない』と。
僭越ながら、適正価格ではないと考える根拠。および私がイメージする本来あるべきシステムの価格設定について説明します。
私はこの考えに至ってから、開発する機能についての費用対効果を意識するようになり、無駄な作業を極力排除できるようになったと思います。
是非、これって無駄な作業なんじゃないか?と日々疑問を抱いているあなたに読んで欲しいです。
システムの適正価格とは?
まず、システム導入の目的です。
以下のような理由でシステムを導入するものと考えています。
- 運用の手間をシステム化することで改善し、コスト削減を計る。
- システム導入により現状を分析、改善することにより売上の拡大と収益性の向上を計る。
- ユーザーの利便性を向上し、企業のブランド力の強化、収益拡大を計る。
従って、上記要件を満たすためのシステムにいくら払えるか?という視点をベースに、システム導入によって得られる収益、または改善されるコストを考慮し、気持ちよく支払いが行えれば適正価格と考えます。
一般的なシステム価格の見積方法
前に勤めていた会社では、大規模なシステム開発が大半を占めていました。
外注として開発に携わるケースが多かったのですが、このような大規模システム開発において外注を雇う場合、月単価いくらみたいな契約で作業することが多いです。
外注の月単価相場
日本人の外注を雇う月単価の相場ですが、会社のブランド、言語の経験年数、プロジェクトでのポジションや習得しているスキルによって価格は変動しますが、おおよそ60~100万くらいに収束するものと体感しています。
オフショアで海外(ベトナムや中国)に発注する場合、相場は月単価20~30万くらいな感じです。
予算で単価が決まる現実
プロジェクトの予算によって支払われる単価は大きく変動します。
例として、私が入社2年目くらいに携わった案件では私に対して単価100万円が支払われましたが、10年目くらいにチームリーダーとして参画した案件では単価75万でした。
勿論、2年目の私が超優秀で、10年目の私が無能だったわけではありません。
要するに、能力に対して単価が決定する訳ではないという事実があります。
あなたの単価が安かったとしても、それはあなたの能力が低い訳ではないので安心してください。
見積費用の公式
システム開発における費用のほとんどは人件費です。そのため、一般的な見積方法として『単価 × 人数 × 期間』という公式が成り立ちます。
例として、単価70万の人が3人、3か月で構築するシステムは『70 × 3 × 3 = 630万』といった具合に見積もります。これに諸経費、機器の導入、教育費も必要でしたら、それらを上乗せ、追加要件にも若干対応する必要があるかもしれないのでマージンも追加、それらの合計を見積金額とします。場合によっては保守費を請求することもあるでしょう。
このようにシステム導入には莫大な金額が必要となります。ですが、システムが高いのは当たり前。という感覚があり、違和感は全く感じていませんでした。あるきっかけがあるまでは。
Googleが提供する無料アプリとの比較
そのきっかけとはGoogleです。
今となっては誰もが当たり前のように利用している『Gmail』、『Googleドライブ』、『Googleマップ』。googleが提供するこれらのアプリ(システム)は、基本的に全て無料で利用できます。
なぜ、このような高品質で多機能なシステムを無料で提供することが可能なのか?
補完財という戦略
Googleは経済学でいう「補完財」という概念を戦略に利用しています。
補完財(ほかんざい)とは、相互に補完して効用を得る財の関係のこと。
Googleのメイン事業は広告です。無料で高品質なアプリやサービスが提供されることによりインターネットやスマホの利用者が増え、必然的に広告を表示する機会が多くなります。
よって、アプリやサービス自体でお金を徴収する必要がないのです。
『Android』も同様です。あのような高性能なアプリを開発できるSDK(ソフトウェア開発キット)を無償で提供するなんて、MicrosoftのVisualStudioを有料で利用していたころには考えられないことです。こちらも同様にスマホアプリが大量にリリースすることで利用者が増え、広告で利益が得られるため無償で提供できるのです。
このようなビジネスモデルがあることを知らなかったので、補完財について知ったときは衝撃を受けました。
リアルな現場の実情
かたや、日本のIT企業に莫大な金額を投資して開発してもらったシステムが、これら無料で利用できるシステムよりも機能面やデザイン、利便性で劣ることは、よくある話だと思います。
こっちは無料のシステムとは違い、実際の運用を考慮した要件をふんだんに盛り込んでフルスクラッチで開発した唯一のシステムなんだ!と開き直ることは容易いです。ですが、その要件を洗い出し開発する際に、本当に運用やシステム導入後の価値を考えたでしょうか?
全力で「YES」と答えられる人は少ないと思います。
私は全力で「NO」と答えます。
なぜなら、現場の開発者は指示された要件、及び仕様書に従って黙々と作業するだけです。また、開発中に「この仕様だと運用で困るのでは?」と気づいたとしても、それを上にエスカレーションする人は稀です。なぜなら本来やる必要のない仕事が増えるからです。
残念ですが、これがリアルな現場の実情です。
価格に見合わないシステム完成
このような要素が積み重なり、出来上がったシステムは大抵運用とは嚙み合わないことが多く、システム化することにより人件費をカットできると見込んでいた箇所でさえ、余計な手間が増えコストが増えてしまうことすらありえます。
また、要件として抽出できなかった部分が原因で、運用が全く回らずお蔵入りするシステムも存在します。その責任は発注側、受注側、それぞれにあると思いますが、基本的にお金は支払う必要があるでしょう。
要するに、納品されたシステムに対し、多少はコスパ改善や収益向上の効果が得られたとしても、金額に見合うシステムを完成させることは大変困難だということは理解していただけると思います。
顧客の満足を追求すべき
Googleのようにコストを考えず、ユーザーの利便性を追求したシステム開発を行うことは、普通の企業では不可能です。
ではどうすればよいのか?
例としてシステム管理者のみが利用する管理画面があるとします。
その管理画面に求められているものは何でしょうか?
ちょっと考えてみて下さい。
「画面なので見た目を凝ってカッコいい、スタイリッシュな感じに作る!」
「処理を高速化し、レスポンスの良い操作性を提供すべき!」
色々と考えられると思いますが、まず先に考えるべきは
『顧客が何のためにシステムを導入するのか。』という視点です。
一般ユーザーが利用する画面ならば、見た目に拘る必要もあるでしょう。
また、大量のトランザクションを捌く必要のある制御処理なら処理の高速化は必須でしょう。
よく考えてみて下さい。
システム管理者のみが利用する管理画面に求められるものは
「オペレーションミスが発生しにくい分かりやすい画面配置とシンプルな操作性です。」
上記認識さえあれば、無駄に発生する仕様変更も極力抑えることができ、開発費を削減することができるでしょう。
まとめ
要点をまとめます。
- システムの価値は顧客満足度で決まる。
- システム導入には莫大な金額がかかる。
- SEやプログラマーの単価は能力で決まるわけではない。
- Googleは補完財の戦略なので比較しない方がよい。
- 顧客満足度を追求することで無駄を排除できる。
日々の作業を無駄だと思っていては人生を楽しむことはできません。だからといって、お金を貰う以上、手を抜くことは許されません。だったら、考え方を変えるしかないと私は思います。
結果、私は転職する道を選びました。
現在つとめている会社は自社サービスを展開しており、転職してからこのような悩みは解決しました。
以上、『あなたが開発しているシステムの価格、適正だと思いますか?』について熱く述べさせていただきました。共感して頂けると嬉しいです。
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